【『失敗の科学』レビュー】あらゆる業界を横断し、失敗の構造を解き明かす!

自己啓発

なぜ、「10人に1人が医療ミス」の実態は改善されないのか?
なぜ、燃料切れで墜落したパイロットは警告を「無視」したのか?
なぜ、検察はDNA鑑定で無実でも「有罪」と言い張るのか?




本書は、様々な業界における「失敗」の事例をもとに、「失敗」が起きるプロセスに介在する人間心理や組織体制などをふまえながら、「失敗」の本質やそこから学習するシステムの構築方法を説明しています。


著者はオックスフォード大学を首席で卒業したジャーナリストであり、本書は世界的ベストセラーになっています。


豊富な具体事例と併せてわかりやすく知的な文章で書かれており、ワクワクしながら読み進められました!( ̄▽ ̄)

各章の内容

まずは本書の目次を載せておきます。

  1. 失敗のマネジメント
    1. 「ありえない」失敗が起きたとき、人はどう反応するか
    2. 「完璧な集中」こそが事故を招く
    3. すべては「仮説」にすぎない
  2. 人はウソを隠すのではなく信じ込む
    1. その「努力」が判断を鈍らせる
    2. 過去は「事後的」に編集される
  3. 「単純化の罠」から脱出せよ
    1. 考えるな、間違えろ
    2. 「物語」が人を欺く
  4. 難問はまず切り刻め
    1. 「一発逆転」より「百発逆転」
  5. 「犯人探し」バイアスとの闘い
    1. 脳に組み込まれた「非難」のプログラム
    2. 「魔女狩り」症候群
  6. 究極の成果をもたらすマインドセット
    1. 誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる
  7. 終章 失敗と人類の進化
    1. 失敗は「厄災」ではない





各章のおおまかな内容を、具体事例の一部と併せて紹介します。

(核心的なネタバレはなしです)

1章 失敗のマネジメント

医療業界と航空業界が現場で引き起こした事故を題材に、失敗に対するマネジメントのあり方について述べています。

どちらの事故も、ミスを引き起こしてしまったのはキャリア数十年のベテラン医師・機長。


それぞれ違う業界ですが、失敗の構造は全く同じであり、どちらも早い段階で適切に処置していれば十分に取り返しがつきました。


にもかかわらず起きてしまった事故の要因について、単なる「弘法にも筆の誤り」で済まさずに「なぜ対処が遅れてしまったのか」、「周りにいたサポーターはそのときどう判断し対応したのか」といった観点から解説しています。


また、それぞれの業界の構造の違いにより、事故後のフィードバックが全く異なるというのも興味深かったです。

2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む

冤罪で無実の人に罪を着せてしまった検察官や、自分の主張を頑なに変えない執刀医、カルト集団のメンバーを題材に、「認知的不協和」や「バイアス」など心理学的な側面からアプローチしています。


自分にとって不都合な真実を解釈で塗り替えてしまう人間心理の危うさを感じさせられました。


ある検察官が、DNA鑑定で無実が証明されているにも関わらずとんでもない屁理屈をこねくり回して容疑者を有罪に仕立て上げようとしたり、
予言を外した教祖に対し、信者が余計に信仰を深めたりと、おもわず苦笑いしてしまうようなエピソードがあります。

しかし、当の本人はいたって真面目であり、「認知的不協和」によって自分が正常な思考ができていないことにすら気づかないのが恐ろしい点なんですね。


誰にでも起こりうることなので、できるだけ客観的に自分をみつめながら生きていこうと思います。笑

3章~5章

主なテーマは、「人間は物事を単純化して表面的に捉えてしまう傾向がある」というものです。


・不良の少年少女を更生させるため、刑務所の凶悪犯罪者との対面により刑務所生活での恐ろしい体験をさせて更生を促すというプログラムを実施。

体験後の少年少女たちは「もう絶対戻りたくない」「今日から人生が変わったよ」とつぶやき、その後の調査で「80~90%の更生率」という結果が出たが、はたして本当に効果があったのだろうか?



・1973年、誤って航路を外れたリビアの民間の旅客機が、イスラエル空軍に領空侵犯として撃ち落される事件が発生。

「非武装の民間機を撃ち落すなんてどうかしている!」と、世界中で激しい抗議が沸き起こるが、この事件の真相は…?




上の2つのエピソードは、一見すると更生プログラムは成功し、イスラエルは非難されて然るべしのように思えますね。


これが本書のいう「単純化の罠」です。

真相は本書を一読して確かめてください!(・ω・)ノ

6章 究極の成果をもたらすマインドセット

成長するためのマインドの本質を解説しています。


・世界で活躍するサッカー選手デビット・ベッカムの幼少期からのサッカーに対する向き合い方
・実験を通して判明した、成長する人としない人の失敗に対する捉え方、
・日本に起業家が少ない理由

など

感想

「失敗は恥であり隠すべきもの」という感情は誰しも心の奥底に秘めているかもしれませんが、本書を読むと「失敗」に対する捉え方が大きく変わると思います。

特にエピソードの説明が、まるでドキュメンタリー映像を見ているかのような少し小説チックな文体で書かれており、内容の知的興味深さとも相まってページをめくる手が止まりませんでした。


本書はどんな方にも学びがあると思いますが、経営者やマネジメントをされている方には特におすすめです!

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